JetBrains、マルチエージェント作業環境「Air」をIDEに搭載 Cursorとの違いは
JetBrains IDEの中で複数のコーディングエージェントをセッションごとのGitワークツリーに分けて同時に動かし、結果をIDEのコード解析ツールで確認できる「Air」がアーリーアクセスで登場した。Airはモデルを売るサービスではなく、すでに使っているエージェントをまとめる作業環境だ。
JetBrainsは10月初め、ブログでJetBrains AirをIDE向けプラグインとして公開し、EAP(正式リリース前に先行して試せる公開版)を始めた。2026.3のEAPビルドにはプラグインが標準で入っており、2026.2ではMarketplaceからインストールする。IntelliJ IDEA、PyCharm、WebStormなど、Android Studioを除くJetBrains IDEで使え、別途ライセンスは要らない。
チャット欄一つでは足りなくなった理由
これまでIDEのAIは、画面の端にあるチャット欄が中心だった。AIエージェント(ユーザーの代わりに複数の手順を自分で進めるAI)に大きな作業を任せ、いくつも同時に動かし始めると、どのエージェントがどこまで進めたかをチャット欄だけで追うのは難しい。
Airはこれをセッション単位の管理で解決する。セッションごとに進捗、差分、コスト、ワークツリーを一か所にまとめて表示するので、複数のエージェントを動かしているとき、どのセッションが費用を多く使っているかすぐに分かる。
ワークツリーでの隔離とIDEの解析ツール
各エージェントのセッションは専用のGitワークツリー(同じリポジトリでブランチごとに作業フォルダを分けるGitの機能)で動く。エージェントがコードを書き換えても、開発者が作業中のフォルダーやほかのエージェントの作業とは混ざらない。変更はエージェントのセッションから差分として直接開いて確認でき、特定の行にコメントを残せる。
エージェントはIDEがすでに持っているプロジェクト情報も使う。JetBrainsは、IDEのコード解析がコードベース全体の使用箇所・依存関係・型を解決するため、エージェントが使うトークンもミスも減ると説明している。エージェントが作業している間も、開発者はコードインサイト、リファクタリング、デバッガー、バージョン管理をいつも通り使える。
Cursorとの違い
Cursorは、VS Codeをもとに作られた独立したエディターだ。Airは使い慣れたJetBrains IDEに載るプラグインで、モデルを直接売ることもない。最初から入っているエージェントはなく、開発者がエージェントにログインするまでAI機能も有効にならない。
その代わり、端末にインストール済みのエージェントを検出してつなぐ。製品ページによると、Codex、Gemini、GitHub Copilot、Claude Agent、Junieを標準でサポートし、それ以外のエージェントはACP(エージェントとエディターをつなぐオープンな通信規格)で接続する。Cursorのエージェントもインストールされていればつなげるという点は、二次報道ベースだ。
JetBrains AIのサブスクリプションはなくてもよい。多くの場合、すでに使っているサードパーティーの契約やエージェント自体の認証をそのまま使え、その場合コードはJetBrainsを経由せず、その事業者に直接送られる。
誤解しやすい点
- Claudeのサブスクリプションでは、Airのチャット画面にあるClaude Agentを認証できない。JetBrainsのヘルプは代わりにターミナル画面でClaude Codeを使うよう案内している。
- ノートPCを閉じても動き続けるクラウド実行は、現時点ではJetBrains AIのサブスクリプションが必要だ。
- 無料で試せるJunie Liteは期間限定の提供で、JetBrainsアカウントが必要だ。
- EAP終了後にAirを別料金にするのか、いくらになるのかはまだ発表されていない。
今後の注目点
まず、EAP終了時にAirの価格とクラウド実行の条件がどう決まるかだ。Claudeのサブスクリプションをチャット画面で使えないような制約を見ると、サードパーティーのエージェントをどこまで自由につなげるかが、CursorのようなAI専用エディターとの競争の分かれ目になりそうだ。
出典
- A New Agentic Experience: JetBrains Air in IDEs – EAP Now Open (JetBrains Blog)
- JetBrains Air in IDEs overview (JetBrains Help)
- JetBrains Air in IDEs (JetBrains)