AIコーディング:Terraが半額で画面操作に特化、Opus 5.5は首位維持
総合知能とコーディングエージェントの1位はClaude Opus 5.5が維持し、コスパボードにはOpenAIのコンピューター使用特化モデルGPT-6.1 Terraが新たに加わった。
この記事はコーディングやエージェントワークフロー向けにモデルを選ぶ際の週間ブリーフだ。順位はArtificial Analysis(AA)のボードを基準とし、数値は2026年11月1日前後のスナップショットだ。Intelligence Index(インテリジェンス指数)は数学・科学・コーディング・論理的思考をまとめた総合スコアで、Coding Agent Index(コーディングエージェント指数)は実際のオープンソースリポジトリ作業やターミナル操作、技術Q&Aを束ねたエージェント向けスコアだ。「注目モデル」も公式ランキングではなく、先週のリリースや主要な変更をまとめた編集整理だ。
インテリジェンス指数TOP3と上位維持
AA Intelligence Index v4.3.2は同じモデルを設定ごとに並べる。下表はモデルごとの最高設定のみを残したもので、2位は56点で同率だ。
| 順位 | モデル(設定) | スコア | タスクあたりのコスト |
|---|---|---|---|
| 1 | Claude Opus 5.5(max, fallback) | 58 | 5.98ドル(約940円) |
| 2 | Claude Sonnet 5.5(max, fallback) | 56 | 5.46ドル(約860円) |
| 2 | Muse Wonder Full(max) | 56 | 記載なし |
上位3モデルの並びは先週と変わらない。10月23日にリリースされたMoonshot AIのKimi K3.1 Proは知能55点、タスクあたり2.11ドル(約330円)で4位を維持し、オープンウェイト(モデルの重みを公開し、自分で動かしたり改変したりできる方式)勢で最高知能を保っている。Opus 5.5は9月22日、Sonnet 5.5は9月28日に公開され、いずれもコンテキスト長は100万トークンだ。トークン(AIが文章を読み書きする単位で、単語を細かく分けた断片)価格はOpusが入力100万トークンあたり4ドル(約630円)・出力20ドル(約3,150円)、Sonnetが入力2ドル(約315円)・出力10ドル(約1,575円)となっている。Kimi K3.1 Proは入力2.00ドル(約315円)・出力10.00ドル(約1,575円)でSonnetと同単価だが、タスクあたりの出力生成量が多いためタスクコストは2.11ドル前後となる。
Coding Agent Index v2.0の定着とKimiのランクイン
10月23日に実施されたCoding Agent Index v2.0改編は2週目を迎え、順位の並びが定着してきた。CognitionのFrontierCode v1.1(100タスク)、Terminal-Bench 4.0(66タスク)、SWE-Atlas-QnA-AA(124タスク)を合わせた計290タスクの評価環境で、Claude Code環境のOpus 5.5(61.7点)が首位を堅持した。
| 順位 | モデルおよび実行環境 | v2.0スコア | 備考 |
|---|---|---|---|
| 1 | Claude Code + Claude Opus 5.5(max) | 61.7 | タスクあたり約11.42ドル(約1,800円) |
| 2 | Claude Code + Claude Sonnet 5.5(max) | 59.3 | 上位を維持 |
| 3 | Muse Code + Muse Wonder Full(max) | 58.9 | サブスクリプション専用 |
| 4 | Claude Fable 5.1(max, fallback) | 57.6 | 上位を維持 |
| 5 | Codex + GPT-6.1 Sol(max) | 54.1 | タスクあたり約1.50ドル(約240円) |
| 6 | Kimi Code + Kimi K3.1 Pro(max) | 52.4 | タスクあたり約2.80ドル(約440円)、公式登録 |
今週最も注目される動きは、Moonshot AI公式ハーネス構成であるKimi Code + Kimi K3.1 Proが52.4点で6位に公式ランクインした点だ。ウェイト公開を控えるモデル群の中で、エージェントボードにおける最高成績となる。複雑なリポジトリ文脈の把握やコードリファクタリングにおいてOpusの推論(完成したモデルで答えを生成すること)能力が首位を支える一方、Codex環境のGPT-6.1 Solは54.1点(タスクあたり約1.50ドル・約240円)で5位を維持した。その下ではDeepSeek V4.1 Flash構成が47.3点(タスクあたり約0.39ドル、約61円)、Gemini 4 Argon(Antigravity CLI環境)が40点台前半から半ばにつけている。
コスパTOP3とTerraの参入
AAのIntelligence Indexスコアとタスクあたりコストを比較したコスパの整理だ。Solは推論設定ごとにスコアが異なるため、高スコア帯代表としてmax(52点、0.72ドル・約110円)を、低価格帯としてmedium(48点、0.21ドル・約33円)を併記する。
| 順位 | モデル(設定) | インテリジェンス指数 | タスクあたりのコスト |
|---|---|---|---|
| 1 | GPT-6.1 Sol(medium) | 48 | 0.21ドル(約33円) |
| 2 | GPT-6.1 Terra(max) | 47 | 0.35ドル(約55円) |
| 3 | GPT-6.1 Sol(max) | 52 | 0.72ドル(約110円) |
今週のコスパ表における最大の注目点は、10月26日に公開されたOpenAIのGPT-6.1 Terraのランクインだ。Terraは知能47点でタスクあたりコスト0.35ドル(約55円)を記録し、2位につけた。100万トークンあたり入力1ドル(約157円)・出力5ドル(約787円)とSolの半額単価に設定されており、視覚分析や画面操作が頻繁に発生するエージェントパイプラインの費用を大幅に抑えられる。
高スコア帯の選択肢としてはMoonshot AIのKimi K3.1 Pro(知能55点、2.11ドル・約330円)が、Opus(58点、5.98ドル・約940円)やSonnet(56点、5.46ドル・約860円)の半分以下の費用水準を維持している。純粋な超低価格帯ではMiMo-V2.6-Pro(知能46点、タスクあたり0.13ドル・約20円)やClaude Haiku 5.5(max、知能43点、タスクあたり0.21ドル・約33円)が安定した選択肢だ。
先週の注目モデル、新登場モデル
先週(10月26日〜11月1日)のコーディング・エージェント環境における主要な動きは4点だ。
- OpenAI GPT-6.1 Terra正式公開 — 10月26日。コンピューター使用(画面を認識してマウスやキーボードで操作する機能)と視覚推論に特化した中間級モデル。100万トークンあたり入力1ドル・出力5ドルとSolの半額で、110万トークンのコンテキスト長を備える。ChatGPT有料プラン、GitHub Copilot、Amazon Bedrockに同時展開された。
- Kimi K3.1 Pro Coding Agent v2.0公式登録 — 10月28日。知能55点に続き、コーディングエージェント指数で52.4点を記録して6位に入った。オープンウェイト勢として最高水準の実務スコアだ。
- NVIDIA Nemotron 3.5 Bolt E4Bオンデバイス最適化 — 10月29日。4GB VRAM(グラフィックスカード専用のメモリ)環境に合わせた軽量エージェントモデルのローカルランタイム最適化とJetson展開ガイドが公開された。
- DeepSeek-V4.1-Flash-1017サーバーツール無料期間終了 — 11月1日。10月17日の公開から2週間提供されていたSearch & Fetchサーバーツールの無料利用枠が、日本時間11月1日午前1時(10月31日16:00 UTC)をもって終了し、通常課金へ移行した。
ローカルやオープン系の新展開を日付順に整理すると以下の通りだ。
| 日付 | モデルおよび製品 | 開発者の利用経路 |
|---|---|---|
| 10/26 | GPT-6.1 Terra | OpenAI API、ChatGPT、GitHub Copilot、Bedrock |
| 10/28 | Kimi K3.1 Pro(エージェントv2.0反映) | Kimi Code、Moonshot API |
| 10/29 | Nemotron 3.5 Bolt E4B最適化 | ローカルランタイム、Jetson展開ガイド |
| 11/01 | DeepSeek V4.1 Flashサーバーツール課金化 | DeepSeekプラットフォームAPI |
誤解しやすい点
GPT-6.1 Terraは画面操作や視覚分析が3倍速くAPI価格もSolの半額だが、複雑なアルゴリズムや深いリファクタリングでは依然としてSolやAstraが優れる。すべての開発作業をTerraに置き換えるのは推奨されない。DeepSeek Flash-1017のサーバーツール課金化はWeb検索連携などの補助ツールの移行であり、モデル自体のトークン単価が変わったわけではない。Coding Agent Indexの61.7点はOpus 5.5単体ではなく、Claude Codeハーネスとmax effort設定を組み合わせた総合測定値だ。
今後注目すべき点
- 11月30日のGemini 4 Argon導入価格(入力2ドル・出力10ドル)終了を1か月後に控えたエージェントワークフローの動向
- Kimi K3.1 Proの公式オープンウェイト公開時期とローカルフレームワークでの動作性能
- GPT-6.1 Terraを用いたブラウザー自動化やコンピューター使用ワークフローの本番導入ペース
- Nemotron Bolt E4Bなど軽量モデルを活用したローカルおよびオンデバイスエージェントツールの広がり
為替レートは2026年11月1日時点(1ドル≈157円)。金額は「約」で端数を整理した。
出典
- Artificial Analysis Intelligence Index (Artificial Analysis)
- Coding Agent Benchmarks (Artificial Analysis)
- LLM Leaderboard (Artificial Analysis)
- Introducing GPT-6.1 Terra (OpenAI)
- Moonshot AI Kimi K3.1 Pro Announcement (Moonshot AI)
- DeepSeek-V4.1-Flash-1017 (DeepSeek)
- Gemini 4 Argon is now available for everyone (Google)
- Introducing Claude Opus 5.5 (Anthropic)
- Introducing GPT-6.1 Sol (OpenAI)